「勉強ができない」を1人でも減らしたい~子どものしんどさの根本に寄り添う学習支援を目指した『ひまわりの森』
学校の勉強がしんどい子どもたちの手助けをしたい!でも学校の中ではできないことが分かった時、それなら私がしようと決めて自宅で無償の塾を開いた元小学校教師、山本先生。

2人が出会えたから、「ひまわりの森」ができた
― お2人が出会ったきっかけを教えて下さい。
岡見: 昨年2024年6月ごろ、当時子どもが通う学校のPTA会長だった私に「手伝ってほしい案件がある」と声かけられました。なんだろうと思いながら行ったところには、山本先生と他にも5,6人がいたんですね。話を聞くと、学校に行くのがしんどい子どもたちに対して「サポートする人に来てほしい」と思っている人と「お手伝いをしたい」と思っている人と両方が来ていた集まりだったことがわかりました。この時が山本先生との初対面なんです。
― 岡見さんはなぜ一緒にしようと思ったのですか?
岡見: そのとき山本先生は、自宅を開放して「勉強がしんどい子のための塾」を10年以上無償でしてきたことを、一生懸命に話されていました。最初は「勉強ができない子のための塾」として始めたものの、一人ひとりの「勉強ができない」の背景は異なっていることに気づき、一人ひとりの違いに寄り添ったサポートをしてきた。でも、もう歳もいってきて、疲れてきたのでやめようと思っていることも聞いて。
そんな一生懸命に話されている先生の姿に、私は心を掴まれました。この塾を必要としている子どもは必ずいると思ったので、一緒に活動しようと思いました。
― そのときのことを、山本さんはどう覚えていますか?
山本: その会に私も呼ばれてよくわからずに参加したのですが、そのとき塾は本当はやめるって決めていたんです。でも、こんな若い方が一緒にやってくれるなら、また頑張ろうって思いました。
学校の勉強がしんどくなるのは、なぜ?
―山本先生はそれまでどのような塾をされていましたか?
山本: 以前、小学校で教師をしていたのですが、勉強ができない子どもをたくさん見てきました。一人ひとり手助けしたいけれど、「学校」という枠の中ではできないんです。それなら自分でやろう!と思いたったんですね。まもなく学校を辞めて、自宅を使い無償で勉強を教え始めました。

子どもたちの中には、手が器用に使えない子や発達障害的な要素をもっている子もいたので、それぞれの子を何度でも繰り返し教えたり、ゆっくりと時間を使ったりして、教えていきました。塾を始めた頃はわからなかったけれど、勉強がしんどい根本は「勉強すること」そのものじゃなくて、その子ができること・できないことに寄り添った個別のサポートがなかったから、「勉強」にしんどさが出ていたことに気づきました。
― 「勉強ができない」は結果であって、その根っこは一人ひとり違うのですね
山本:発達障害に対する認識のない親もいて、病院での診察を受けた方がいいのではないかと薦めたこともあります。子どもの特性について受け入れない親もいて喧嘩になったこともありましたが、受診してよかったと言ってくれる親子もいました。塾でできることは限られているので、その子の通う学校との連携も必要と思い、その子についての申し入れしたいと学校に連絡したこともありましたが、断られることがほとんどでした。申し入れができたときでも、この子は身体的にできないので他の方法が良いのではないかと説明しても、理解してもらえず…、がっかりしたと同時に、学校現場の事情を知っている立場として、仕方ないと思いましたね。
塾にはおかげさまで口コミもあってかずっと誰かが来ていて、10年くらい一人で続けることができました。でも、今来ている2,3人が卒業したら、疲れたのでもうやめようかなと思っていたんです。

イベントは子どもたちが「個性」を伝えてくれるチャンス
―「ひまわりの森」はいつから始められましたか?
岡見:私たちが出会った6月以降、準備を進めて2024年11月から始めました。なので、まだ1年ちょっとです。週3回の放課後に子どもの居場所づくりを、毎週金曜日はお昼過ぎから夕方まで学校にいけない子どもさんの居場所とその親の相談場所を開いています。学生ボランティアも参加していて、一緒に学習支援やイベント準備、親の会の開催などをしています。
地域で行われているマルシェなど、休日の様々なイベントなどにも子どもたちと一緒に参加して、「ひまわりの森」という名前を覚えてもらおうと思ってがんばっています。楽しいですよ。

やってよかったと思ったことはありますか?
山本:一人でしていた時に、小3の女の子が来て、しんどかった勉強を一つひとつ丁寧にゆっくり積み上げていきました。今や高校1年生になり、将来は学校の先生になりたいと言ってくれたんです。今でも手伝いに来てくれることが嬉しい。

―これからいっそう力を入れていきたいことを教えて下さい
山本:子どもがしんどいということは、その親もしんどいと思うので、そういう親にお会いしていきたい。力になりたいです。親が明るくいられることがその子にとっても大切だと思うから。
また、子どもがなぜしんどいのか、その根本に対しての親や学校の先生の理解と知識がないことも問題だと思うので、それが周知されていくことも大切だと思います。数学や国語だけでは測れないその子の強みを見つけて、活かしてあげることが、その子の成長につながるんですよね。病院は嫌かもしれないけれど、しっかりと何がその子にそうさせているのか、調べることも時には必要で大事なことだと思います。
岡見:今、フラワータウンだけで活動していますが、ウッディタウンでもできるようになればいいなと思っています。学校の勉強がしんどい子が多くなっていると感じているので、そういう子どもやその親に寄り添うお手伝いができればと思います。
その中でも、特に親に対する支援が必要だと思っていて、まず親がその子への理解を深めることや、関わり方を知ることが大切ではないか。子どもだけの問題ではないということです。将来的には、お医者さんやカウンセラーも交えて支援ができる環境があるといいな、と思っています。
-ぜひ力を貸してほしいという取り組みはありますか?
岡見: 学習支援には私たち以外にも大学生ボランティアが教えに来ていますが、いつも少人数で取り組んでいます。特に、イベントは、子どもたちが自分自身の特徴を発揮してくれて、個性が出てきやすいんですよね。イベントを通して学びや成長につながり、社会とつながれることを願って参加しています。そうすると、一人ひとりの様子をサポートするためにどうしても人数が必要になります。もしお手伝いなどでボランティアの学生さんが参加してくれたら嬉しいです。